■感覚情報処理論の講義内容は、以下である。
・情報処理過程の生理学的機構
・感覚機能、知覚現象
・感覚の測定法
例えば、人間の感覚器「眼」からの視覚情報が、人体的な仕組みとして、どのように捉えられ、さらに、知覚していくかが、展開されていく。
この感覚器官が感受する環境情報、その環境情報の担い手は、物理化学的エネルギーである。
感覚器官に感受されるエネルギーを以下に示すと、
光エネルギー→眼で感受→視覚
音エネルギー→耳で感受→聴覚
機械的エネルギー→皮膚で感受
熱エネルギー→触覚、温覚、冷覚、痛覚など皮膚感覚
この中の「眼」という感覚器が捉える事象に注目すると、その時の、その場の照度や、輝度によって、物体の見え方が変わる。更に、人間の「眼」という感覚器がもつ、「同時対比」や「明るさの恒常性」「マッハ現象と側抑制」について、考察すれば、光の物理的強度の違いと、明るさの感覚は一致しないことがわかる。
つまり、事象や、事物、事実といった情報を、正確に、感受すること自体、人間には、実際、非常に難しいと言うことである。
情報モラルという情報の信頼性、信憑性を日頃、子どもたちに指導するとき、私たち人間が、事象・事物・事実という情報を受け止め、その本質を捉えることは、実際には非常に、難しいことであることを、まず、子どもたちに教えたい。
更に、そこには、人間のもつ感覚器のしくみも、関係していることを教えることも、必要かもしれない。
例えば、先日実践した情報モラルの授業では、教材として、下記のサイトを利用した。
□北村明佳の錯覚のページ
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/
北村先生のサイトを見た子どもたちは、一種異様な感じを抱いたと思う。
しかし、そこでは、実際には、動いていないはずの、画像が動くことの不思議。子どもたちは、感覚で得たと思う。
こうした事実と感覚との違いを通して、私たちの周りにある情報を、読みとることの難しさを知り、では、情報を正しく読むこととは、どういうことなのかという問題提起から、情報モラルへの授業展開が始まっていく。
情報モラル指導では、通常、子どもたちに、情報には、うそや偽りがあるから、信用してはいけないというモラル指導を、インターネット上の情報モラル指導サイトから、ネット詐欺や、チェーンメールなどを教材にしたり、最近では、携帯電話などのツールに関しての情報安全指導とともに、教えている。しかし、情報を子どもたちがどのように捉えるかという視点を起点に、情報モラル指導を考えていくことの方が、子どもたちには、必要なのではないかと考えている。
こういうことはやってはいけないよという指導以前に、情報とは、どういうことなのか。そこには、人間の感覚器から得る情報と事象の本質情報には、違いがあることを、事実として知り、情報は、人間がいくらでも工作することができることを知り、だからこそ、そこにある本質を見抜くことが必要だという指導こそ、重要なのではないかと考える。
こうした指導から、ネット詐欺も、チェーンメールも、見抜ける力を育成することが大切なのだろうと考える。
情報モラル指導には、試行錯誤する毎日である。
〜06.05.10 感覚情報処理論〜