論争のなかの心理学 どこまで科学たりうるか
アンディ・ベル著 渡辺恒夫・小松栄一訳 新曜社出版
心理学をめぐるさまざまな考え方がどこまでが「真実」なのか、心理学をめぐる哲学上の論争を、取り上げている。
論争例として、
1.自由意思と決定論
行動主義者は、全ての行動は学習の結果であるという説を提起する。つまり、泥棒も、学習によって、作られてしまうという極論が生まれるという。そこにある、人間の自由意思は、どうなのだろうという考え方との論争。
2.質的か量的か
ここでは主観性と客観性という対立軸の問題の中心になる。そもそも心理学は、客観的であろうとする。人間が持つ心理学的状態、思考、感動、感情は、極めて個人的な主観的な感情である。それらは、たやすく科学的に観察することは不可能である。
3.遺伝か、環境か
人は、「言語獲得装置(LAD)」を生まれつき持っていると論じるノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)と、オペラント条件付けによる言語学習の原理がより真実であるという対極論争。
本書にある私の最大の関心は、関連論文にある。
「視覚環境に依存する脳の発達」
Development of the Brain depends on the Visual Environment, Nature,288,; 477-478
Blakemore,C. and Cooper, G.F.(1970)
「意識、人格の同一性、そして分割された脳」
Consciousness, Personal Identity and the Divided Brain, Neuropsychologica, 22, 661-673
Sperry, R.(1984)