第一言語が日本語である日本人の子どもたちへの英語学習法は,英語圏でのいわゆるネイティブな子どもたちへの英語学習法とは違うことは,すでに,教育臨床での知見にあり,言語間の違いに発達性言語障害,ここでは,特に読み障害について,研究を進めていく.
英語学習で,特に発音指導,会話指導に苦慮するのは,日本語と英語の言語特性(文字体系/音韻体系)の違いにあることは,文献調査研究からも明らかになってきた.
今後,我が国においては,小学校での英語学習の導入が,その発達段階によって,第二言語としての英語が,どのように日本の子どもたちの言語活動に影響を及ぼすのか,また,言語障害,とくに読み障害の生起があるのかに,追究の先がある.
文献調査研究では,英語圏での生起率の多いDyslexiaとSpecific Language Impairmentの2つの発達性言語障害について,調査を進めた.文字言語の障害であるDyslexiaと音声言語の障害であるSLIの定義は,日本の学校教育の中では,まだ理解されていないことも重要な課題である.学習障害LDという教育用語の曖昧さに,学校教育現場が翻弄されている理由は,そこにあるのだろうと考える.
読み障害にしぼり,研究を進めていく背景には,その指導法が,我が国の今後の英語教育における新しいメソッドになりうると期待するからである.識字力の高い日本の子どもたちでありながら,英語においては,英文を理解したり,書いたりできるが,話せないという課題に,障害科学の研究領域から,新しいメソッドを生み出す研究になる.
その過程での文献調査は,ワーキングメモリに関するレビューをしてきた.
特に,Robert H. Logieの研究は,今後,レビュー文献として,整理していく.
References:
https://psy-web.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/105.pdf
http://www.ncbi.nlm.nih.gov:80/pmc/articles/PMC1414070/
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/109.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/141.pdf
http://www.nissan-zaidan.or.jp/membership/2002/05_seika/0038.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/101.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/120.pdf
https://psy-web.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/105.pdf
http://www.ncbi.nlm.nih.gov:80/pmc/articles/PMC1414070/
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/109.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/141.pdf
http://www.nissan-zaidan.or.jp/membership/2002/05_seika/0038.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/101.pdf
http://www.psy.ed.ac.uk/people/rlogie/120.pdf
また,DyslexiaやSpecific Language Impairmentの症例は,言語障害や高次脳機能障害から,失読症の症例として,認知神経心理学的な新しいアプローチとして,「コネクショニスト・アプローチ」に注目している.
Dual-Route Model (Coltheart, 2001)二重経路モデル(Chomskyなどの言語生成理論に基づく)とは,異なるSeidenbergらのコネクショニスト言語モデルである.それらについては,現在,文献調査をしている.
http://www.cis.twcu.ac.jp/~asakawa/BrainScience2009/lesson08.pdf
http://www.cis.twcu.ac.jp/~asakawa/study/Moribook2000-2-web.pdf
http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/jobun/jobun09442-5.pdf
こうした理論背景から,進める研究は,その指導法(メソッド)として,シンボルの配列での意味を操作し,聴覚的に学習する.その学習法は,コンピューターを活用した指導法として,開発する.
特別支援教育にICT活用が必要になると考えるのは,障害をもつ子どもたちへの指導法には,その背景にある障害理解と,障害特性にあった指導法が必要であり,理論的な背景にあるモデルでは,今後は,脳科学の新しい研究領域からのアプローチが必要になってくる.障害をもつ子どもたちへの指導法や,障害を解明していくひとつの手法として,ICTの活用が,使われていくことは,現場の教員たちにとっても,新しい教授方略のひとつとして,先生方の指導法が拡張されていくことだろうと考える.
AAC(Augmentative and Alternative Communication)として,コンピューターやインターネットが使われるためには,そこに必要としている子どもたちがいて,子どもたちの未来のために,技術開発を進めていく必要がある.そのためには,人間のもつ認知,つまり「学び」がどういうものかをしっかり,考えていく必要がある.「学び」を追究していった時,その手法としてICTを選択するのは,子どもたちであり,それを指導する教員たちであることは,まぎれもないことであるが,それが有効であるならば,だれもが必要とされるのだろう.
ICT活用という機械的であることと,教育がもつ本来の営みである人間的であることの対極に,もがきつづけながら,対極にあるということが,同じ直線上にあることを感じている.振られながら,対極を知ることで,正極の真理がみえるのだろうと,ここのところの文献調査から,考察,整理をしながら,いよいよの指導法の開発研究に向かう.