専門科目では,特別支援学級における障害をもつ子どもたちへの支援を考えるために,その障害理解と,アセスメント,指導法について,学ぶ.通常学級の中の障害をもつ子どもたちの多くは,ADHD,LD,高機能自閉症の障害名が対象にあがる.実際の現場には,医師の診断がくだされ,指導法プログラムによって支援できている子どもたちと,診断は受けていないが,その傾向にあるだろう子どもたちがいる.平成17年,国は,発達障害者支援法の制定・施行とともに,「ADHD,LD,高機能自閉症等」から「発達障害」として表記する用語の使用,定義づけ,その範囲(例えば,自閉症においては,高機能自閉症だけでなく,自閉症全般に範囲を広がる)を明示して,発達障害支援への方向性を示した.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/001.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/001.pdf
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/002.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/003.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/004.htm
F80-F89 心理的発達の障害
・F80 会話及び言語の特異的発達障害
oF80.0 特異的会話構音障害
oF80.1 表出性言語障害
oF80.2 受容性言語障害
oF80.3 てんかんを伴う後天性失語(症)[ランドウ・クレフナー症候群]
oF80.8 その他の会話及び言語の発達障害
oF80.9 会話及び言語の発達障害,詳細不明
・F81 学習能力の特異的発達障害
oF81.0 特異的読字障害
oF81.1 特異的書字障害
oF81.2 算数能力の特異的障害
oF81.3 学習能力の混合性障害
oF81.8 その他の学習能力発達障害
oF81.9 学習能力発達障害,詳細不明
・F82 運動機能の特異的発達障害
・F83 混合性特異的発達障害
・F84 広汎性発達障害
oF84.0 自閉症
oF84.1 非定型自閉症
oF84.2 レット症候群
oF84.3 その他の小児<児童>期崩壊性障害
oF84.4 知的障害〈精神遅滞〉と常同運動に関連した過動性障害
oF84.5 アスペルガー症候群
oF84.8 その他の広汎性発達障害
oF84.9 広汎性発達障害,詳細不明
・F88 その他の心理的発達障害
・F89 詳細不明の心理的発達障害
F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
・F90 多動性障害
oF90.0 活動性及び注意の障害
oF90.1 多動性行為障害
oF90.8 その他の多動性障害
oF90.9 多動性障害,詳細不明
・F91 行為障害
oF91.0 家庭限局性行為障害
oF91.1 非社会化型<グループ化されない>行為障害
oF91.2 社会化型<グループ化された>行為障害
oF91.3 反抗挑戦性障害
oF91.8 その他の行為障害
oF91.9 行為障害,詳細不明
・F92 行為及び情緒の混合性障害
oF92.0 抑うつ性行為障害
oF92.8 その他の行為及び情緒の混合性障害
oF92.9 行為及び情緒の混合性障害,詳細不明
・F93 小児<児童>期に特異的に発症する情緒障害
oF93.0 小児<児童>期の分離不安障害
oF93.1 小児<児童>期の恐怖症性不安障害
oF93.2 小児<児童>期の社交不安障害
oF93.3 同胞抗争障害
oF93.8 その他の小児<児童>期の情緒障害
oF93.9 小児<児童>期の情緒障害,詳細不明
・F94 小児<児童>期及び青年期に特異的に発症する社会的機能の障害
oF94.0 選択(性)かん<縅>黙
oF94.1 小児<児童>期の反応性愛着障害
oF94.2 小児<児童>期の脱抑制性愛着障害
oF94.8 その他の小児<児童>期の社会的機能の障害
oF94.9 小児<児童>期の社会的機能の障害,詳細不明
・F95 チック障害
oF95.0 一過性チック障害
oF95.1 慢性運動性又は音声性チック障害
oF95.2 音声性及び多発運動性の両者を含むチック障害[ドゥラトゥーレット症候群]
oF95.8 その他のチック障害
oF95.9 チック障害,詳細不明
・F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害
oF98.0 非器質性遺尿(症)
oF98.1 非器質性遺糞(症)
oF98.2 乳幼児期及び小児<児童>期の哺育障害
oF98.3 乳幼児期及び小児<児童>期の異食(症)
oF98.4 常同性運動障害
oF98.5 吃音症
oF98.6 早口<乱雑>言語症
oF98.8 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の明示された行動及び情緒の障害
oF98.9 小児<児童>期及び青年期に通常発症する詳細不明の行動及び情緒の障害
ICD-10の障害分類にもあるように発達障害で扱う障害種,特性やその内容は,広範囲であること,実際,それらの障害は,子どもによっては,重複した障害を持っている場合も多く,学習支援の方法や対応が難しいことが,課題にあがる.標準化されたアセスメント法の開発の確立されたアセスメントの必要性も感じる一方,障害が混在しているケースを見ていくうちに,いくつかの知能検査バッテリーから,多角的に子どもたちの障害を考えてあげることのほうがいいのだろうと考えを新たにする.そうした多方面の視点から,ひとりひとりのニーズに合った個別支援計画,個別学習指導計画を作成していくことが重要なのだろう.
こうしたことをふまえて,発達障害を取り扱うときには,大きく心理的発達と,行動障害および情緒障害の2つに分類された中で,考える.目の前の子どもが,どのような様態にあるかの観察がとても大切になるが,学校教育の中では,行動障害および情緒障害をもつ子どもたちは,観察のしやすさから,問題視されることが多い.反対に,心理的発達の障害として,学校教育の中に潜在しているであろう学習障害は,実際,高学年になって,学力が伸び悩んだり,学習についていけなかったりといった二次的障害へ発展してから,発見されるケースが多い.
発達障害の中にあるF81学習能力の特異的発達障害として扱う,学習障害(一般にLDという)は,ICD-10でも,読字障害,書字障害,算数障害,混合性,その他,詳細不明という6つのカテゴリーに分類される.それらの障害は,検査バッテリーを使って,早期に発見して,的確な指導法が必要になる.
この読字障害,書字障害は,英語圏では,Dyslexia(ディスレク(キ)シア)として,研究が進んでいる.実際,この障害は,その言語特性に関係があるとされ,日本語においては,英語圏より有症率が低いとされている.
Dyslexiaの研究は,近年多くの論文が発表されてきた.日本のおける研究では,失語,失読といった神経心理学の領域からと,LD学会などの教育心理学の領域から,研究発表がされている.
[特集1]読み書きのみの学習困難(ディスレキシア)への対応策
ライフサイエンス・医療ユニット 石井加代子 科学技術政策研究所(NISTEP) 2004
今後,取り上げていく課題として,日本の子どもたちの外国語学習における,特に英語の読字障害,書字障害を,英語圏で進むDyslexia研究の学習プログラムから検証する.その手法が,日本語の読字障害,書字障害に当てはまるかについては,既に進んでいる日本におけるDyslexia研究との比較対象になるかもしれない.
従来も,今も学校教育で実践されている言語学習の言語プログラムとは,違った言語習得プログラムとその指導法が注目される.
参考文献/References/過去ブログ:Keywords「読み書き障害」
The Secret (1992)聞こえるかい心の歌が(邦題)
Tagline:Mike Dunmore spent his entire life in the dark. Now his grandson is going to show him the light.
Discovering the truth is one thing. Sharing it is another.
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Secret_(1992_film)