全12回に及ぶ菊池英明准教授の「言語情報科学特論」の講義は、オンデマンドの講義配信で、何度も何度も動画を見返すことができることが、嬉しい。ただ、やはり、講義は、教場授業が何よりも学べること。先生にお願いして、配信期間の延長を申し出ようと思う。そして、夏期休暇中に菊池先生の研究室を訪ねようと思う。
情報科学領域の研究に欠かせない、たくさんのトピックが網羅された講義は、言語学と情報科学を学んできた先生のグランドの深さを感じる。そして、私がこれから、LDの子どもたちをはじめとした発達障害の子どもたちの認知過程での学習課題のための研究の、手掛かりとなるヒントがたくさんあること…、やはり、私の研究は、この領域にあるんだなぁと、身体が安堵する。情報科学的方法の中の、工学的アプローチに、情報技術が、子どもたちの発達を支えられること…私が、進む方向。ニューラルネットワークから、更に展開される自己組織化マップ(SOM: Self-Organizing Maps)にある認知構造のアルゴリズムの追求。ここにこそ、子どもたちの可能性を伸ばすファクターがたくさん、秘められている…。レポート課題に、夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)が膨らむ。
参考文献:
Self-Organizing Maps
Series: Springer Series in Information Sciences , Vol. 30
Kohonen, Teuvo
3rd ed., 2001, XX, 501 p., 129 illus., 1 in colour, Softcover
ISBN: 978-3-540-67921-9
言語情報科学特論講義内容
第1回 はじめに
第1章 「言語情報科学」とは
第2章 最もよく使われる言葉は?
第3章 外来語は本当に多いの?
第4章 これからの授業の内容
第2回 言語発声のしくみ1
第1章 アンケート集計結果
第2章 ことばはどうやって発せられるのか?
第3章 動物とヒトの声はどう違う?
第4章 ヒトはいつことばを発しはじめたの?
第5章 まとめ
第3回 言語発声のしくみ2
第1章 ヒトはどうやって声を出すの?
第2章 音声合成の種類
第3章 ピッチ加工の代表的なモデル
第4章 Q1を解決するための情報科学的方法
第4回 言語理解のしくみ1
第1章 ことばはどのように伝わるのか?
第2章 ヒトはどのぐらいの高さの音を聴き取れるか?
第3章 耳から入った音は脳にどうやって伝わるか?
第5回 言語理解のしくみ2
第1章 ヒトはどのようにして言葉を理解するの?
第2章 モデルの例
第3章 ニューラルネットワーク
第4章 アルファベットの識別
第6回 言語獲得
第1章 ヒトはどのようにして言葉を覚えるか?
第2章 どうやって音と音を区別できるようになるの?
第3章 どうやって語と語を区別できるようになるの?
第4章 どうやって分を理解・生成できるようになるの?
第5章 コンピュータはことばを覚えることができるの?
第7回 語彙および語の成り立ち
第1章 私たち(成人)はどのくらいの数の語を知っているの?
第2章 Q4を解決するための情報科学的方法
第3章 語はどのようにして出来るのか?
第4章 Q4を解決するための情報科学的手法~Webの新語抽出技術~
第8回 音声言語処理
第1章 コンピュータはことばがわかるか?
第2章 音声認識の本質
第3章 音声認識のアルゴリズム
第4章 コンピュータはどのようにしてことばの意味を解釈するの?
第5章 Q5を解決するための情報科学的方法
第9回 音声対話処理
第1章 音声認識のデモ
第2章 コンピュータはヒトになりすませるか?
第3章 音声対話システム
第4章 「ヒトになりすませる」はどのように調べるのか?
第5章 「ヒトになりすませる」には何が足りないのか?
第6章 音声言語メディアの特性
第7章 Q6を解決(実現)するための情報科学的方法
第8章 期末課題
第10回 会話の仕組み
第1章 自然な会話はどのように成り立っているか?
第2章 対話のレッスン
第3章 会話をどのように分析するのか?
第4章 発話行為
第5章 話題
第6章 発話の番
第7章 会話に影響を与える要因は何か?(会話の内容を除く構造に対して)
第11回 非言語情報
第1章 コンピュータはヒトの感情がわかるか?
第2章 感情推定技術の例1
第3章 どのようにして感情を推定できるの?
第4章 決定木学習
第5章 感情推定技術の例2
第12回 音声言語コーパス
第1章 上手な話し方とはどんな話し方?
第2章 音声言語コーパス
第3章 『日本語話し言葉コーパス』
第4章 研究用付加情報の利用例
第5章 CSJにおける印象評定