リテラシーと聴覚障害
四日市彰 編著 コレール社 2009
ICTを活用したAssistive Technologyの研究を進めるにあたり,昨年付属の特別支援教育学校を訪問した際,障害種の中でも特に,聴覚障害学校でのICT活用と,生徒たちのスキルの高さに驚かされている.
本書は,聴覚障害研究から,読む,書く,話す,聞くといった,リテラシーのストラテジーが示唆されている.それらは,通常学校の子どもたちのにも通じるストラテジーであることが,何よりもすごいと感じる.
さらに,そこには,ICTを活用した研究の手法についても述べられており,ここでは,ICTが,研究の一つの手法として位置づけられ,ICTを使ったより妥当性,信頼性の高い研究にするための手法が述べられている.そこにある精緻された手続きが,どれほど厳しいかを痛感する.ただ,ICTを使えばいいというのではなく,その研究にいたる手続きこそが重要であること,そして,将来の教育の中で,ICTを使った,「評価」の位置づけが,重要であることがわかる.
例えば,課題遂行時の記録を,ICTを使って,計測し,分析することで,次のストラテジーを考えるために,課題遂行の様子をビデオで分析する.キャプチャーソフトを使って,時間,行動(課題遂行)パターンなどから,学習者の課題遂行時の傾向を分析する.そのパターンの修正から,授業方略(ストラテジー)を考えて,学習者の個別指導に当たる・・・・こうしたことは,今後の特別支援教育には,大切なことになる.
現在,取り組む新しいICTのソリューションでは,子どもたちの学習の記録を重要視して,そこから見える子どもたち,一人一人の傾向を追う.
本書第4章「聴覚障害児の読み書き研究の方法」第2節にあるオンライン的研究の手法については,以下にまとめていく.(編集中)