障がいのある子どもたちのための携帯電話を利用した学習支援マニュアル
東京大学中邑先生たちとソフトバンクの共同研究プロジェクトは,障害のある子どもたちのために,携帯電話を活用した学習支援マニュアルを発表した.
プロジェクトの目的 携帯電話が生活や学習支援に役立つ活用事例を広く紹介することで、障がいを持つ子どもたちの学習機会を増やし、社会参加の促進を目指す。既存のテクノロジーである携帯電話を上手に活用することで、生活上感じる困難を軽減し、特に障がいを持つ子どもたちが社会の多様な場面に今まで以上に参加できるようになることを目指す。
公立学校では,携帯電話の持ち込みが禁止される方向性の中で,携帯電話をはじめとしたモバイルを,学校教育の中でも取り入れた学習支援や,生活支援が始まる.この取り組みは,特別支援教育の中で実践されていくもので,障害のある子どもたちのための支援ツールとしての携帯電話の活用が期待されている.今後,ますます広がっていくだろう.子どもたちに,携帯電話の機能を使った学習,コミュニケーション,生活管理としてのツール活用を指導していく.携帯電話の指導は,携帯電話の正しい使い方を教えることから始まる.フィルタリングの技術は,子どもたちを有害情報から守る.情報の真価は,携帯電話でなくても教えられる.
携帯電話をはじめとしたモバイルは,子どもたちの未来には,必須の生活アイテムになる.そうであるならば,ものとの共生は,ものの使い方から,教えてあげなければいけないのだろう.
ものには,それを使う対象者がいて,その対象者にふさわしい使い方がある.モバイルでの学習支援や,生活支援が,全ての子どもたちに有効であるということではない.中邑先生たちのプロジェクトも,全ての障害の子どもたちを対象にしているのではない.
携帯電話は,手段(ストラテジー)の一つにしかすぎず,手段(ストラテジー)が増えたことを意味する.
子どもたちにとって,いくつものストラテジーがあり,その中から,選択できることが,今後,インクルーシブルな教育の中では,大切な要素になるのだと思う.
現在,取り組んでいるコミュニケーション能力評価研究は,認知,受容,表出の3つの因子から,子どもたちの発達能力段階を評価し,具体的な指導プログラムの手だてにつなげる.
この中で,ICTは,その解析や,収集の技術として,さらに指導法にも活用される.そこでは,モバイル技術も活用されて,特に,指導法では,m-learningに注目した研究になっていく.(進行中プロジェクト)
今後,教育の中で,ICTの活用は,モバイルにも波及して,指導法の開発や,評価法の開発研究が進んでいくだろう.ただ,やはりこれらも,一つのストラテジーにすぎず,いくつかの選択肢の一つになる.
指導法においては,特に,教師にとって,いくつものストラテジーを持つことで,多様な子どもたちへの指導に役立つだろうし,ひとつのストラテジーの手だてによって,別のストラテジーをさらに,バージョンアップさせることも可能である.
教育の中で,新しいストラテジーの登場によって,古きを見直し,新しきを知る(温故知新)・・・研究とは,そういうことなのだろうと,研究を進めながら,感じている.