【未来の教育,未来の学校】
インクルーシブ教育をみすえ,障害があるなしに関わらず,子どもたちの未来につながる教育研究のためのProject,AAC(Augmentative and Alternative Communication) Projectがはじまります.情報科学,教育工学,障害科学,認知心理学のアプローチからの,ものづくり研究です.
こちらのProjectの詳細は,メールでお問い合わせください.
〜〜エピソード 2〜〜
第48回特殊教育学会での茂木俊彦先生の教育講演「障害と発達と教育」では,ICFモデルを,特別支援教育にどういかすかの提言がされた.
edu-blogでも以前,発達障害(言語障害)の新しい教育の方向性として注目していたICFモデルは,今後教育現場にどのような影響を与えるのだろう.
特殊教育から特別支援教育への転換期の中で,「障害を捉える,発達を捉える,生活を捉える,そして,実践の中で子どもたちを理解する.」という茂木先生の講演で,先生が示唆したことは,教育現場の一人ひとりの教師の実践を期待するものだった.
東京にもどり,大学の研究書庫から借りてきた茂木先生の書籍「障害児教育を考える」を,早速手にとる.
子どもに障害がある場合、その種類と程度はさまざまであり、障害によってもたらされる困難、活動の制限も一様ではない。障害の種類や程度に目を向けること、発達という角度から子どもを見ることは、障害児を理解するために必須であると私は思う。(中略)この実践(前章にある藤沢さんの実践記録)を子どもー教師関係の問題として見れば、日々の実践の中で子どもと直接に触れ合い、感情や情動のレベルで、また可能な場合には言語によるコミュニケーションを試みていくことによって、子どもが発する小さなサインにも気づき、サインの意味するものを理解する力を教師の側が身につけていくことが重要であることを示していた。(中略)教師は自らの感受性を高め、想像力に磨きをかけていくことによって、この困難を乗り越えて子どものことを分かろうとする。その努力を端的に表現してみると、それは「子どもに尋ねる」ということであると思う。尋ねることによって、教師は子どもとつながり、共感関係を深め、子どものことが分かるようになっていく。「尋ねる」とは、障害児教育において最も大切にされる「子どもに学ぶ」ことと、ほぼ同義なのだといってよいのかもしれない。
茂木俊彦 障害児教育を考える 岩波新書 2007,p.56「子どもに尋ねる気持ちになる」から
特別支援学級の若い先生たちの悩みの先に,本書を差し出してあげようと思う.
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AAC(Augmentative and Alternative Communication) Projectは,子どもたちの「対話」を育むことや支援することを目的として,はじまりました.現在,スマートフォンを使った学習支援のための研究がはじまっています.