【Shniedermanのシステムの性能評価から学習デザインを考える】
コンピュータ操作法の学習の体系を、対話システムの熟練度とシステム機能に対応させて、考察する。
下記の認知工学論の講義で取り扱った対話システム機能対応表table1を、情報教育の観点から、初級者を小学生、中級者を中学生、上級者を高校生として、その学習内容や指導法を再考してtable2として、記す。
引用:講義よりtable1
table2
ここでは、対話型インターフェースのデザインともあわせて、考察する。
〈小学生の段階〉
小学生の指導においては、低学年では、コンピュータに親しむ、中学年では、コンピュータに慣れる、高学年では、コンピュータを使うという学習目標がある。
ここで、コンピュータのインターフェース、直接操作におけるツールボタンの認識が、小学生でもその操作法を容易にすることから、小学生には、アイコンのイメージ画をシンボリックに理解させ、コンピュータの操作をしながら、成果物(例えば、招待状や、カードなど)を制作するという、課題を与えながら、コンピュータのもつ特性を学習させることが有効。ここでの教師の指導は、学習支援ソフトなどを活用して、制作過程を、発達段階に応じて、誘導していくスモールステップ法の授業方略を使う。Shniedermanのシステムの性能評価の手法を利用する。それは、学齢によって、学習時間や実行速度、エラーの割合、長期記憶を事前に、把握したモノから、1年生から6年生の段階的指導から、学習到達度を図ることができると考える。
また、与える課題(成果物)においても、学齢によって、その難易度を変更することで、満足度を得ることができる。
〈中学生の段階〉
中学生での指導においては、コンピュータのインターフェースでの、メニュー選択から、コマンドの認知学習も兼ねて、メニューの中のコンピュータの様々なツール(コマンド)を子どもたち自ら発見させたり、問題解決を図る力を育成させることが有効である。ここでは、自由課題、例えば、課外学習におけるレポートや、プレゼンテーション用のスライド作成などを与え、それぞれ生徒の学習活動にあわせて、進捗状況を把握し、教師は、支援する。
〈高校生の段階〉
高校生への指導では、その専門的な知識が必要なため、プログラミングの授業と共に、コマンド入力などの指導も必要となる。更に、高次のコンピュータ学習を支援するためにも、より専門的な指導も必要になる。また、プログラミングばかりでなく、コンピュータの機能を使って、例えば、統計解析や、データ分析などの高度のコンピュータ操作も必要になる。
情報教育の中でのコンピュータ操作法の学習ばかりでなく、学校教育における授業設計は、Shneidermanの対話型システム設計にも対応することがわかる。
1.一貫性を持たせる
→初等教育から高等教育まで体系の中で、学習を考える
2.頻繁に使うユーザに近道を用意する
→より重要な課題に関しては、より有効な指導法を提示する
3.有益なフィードバックを提供する
→教師からの有効な即時フィードバック(評価)が必要である。
4.段階的な達成感を与える
→学齢にあわせた段階的な指導と、達成感を与える
5.エラー処理を簡単にする
→学習者のつまずきにあわせた指導をする
6.逆操作を許す
→段階を見せながら、つまずきをもどす指導をする
7.ユーザに主体的な制御権を与える
→学習者が問題発見や、自己解決を図れるような授業支援をする
8.ユーザの短期記憶負担を少なくする
→指導の中で、時に応じて、既習学習の確認をする
上記のようにShneidermanのシステムデザインから、学習デザインへの転用は、十分可能であり、今後、これらを授業実践しながら、
学習システムと、対話型システムを考察したい。コンピュータ学習から、更には、学校教育の中の授業にまで、拡げた考察から、Neilsenのユーザビリティヒューリスティクスについても、同様の考察をしていきたい。学習者に自分自身で発見させる、発見を助けるといった学習システムは、最近の教育現場で、注目をしている学習指導の新しい方向性である。認知工学のシステムデザインと、学校教育システムデザインが近いところにあることを感じている。