Donald A. Norman 著 岡本明ほか 翻訳 新曜社 2004
新しい情報通信端末の登場は,そのデザイン性の美しさや楽しさなどを与えてくれるインターフェースによって,ユーザのタスク達成率が有意に高くなるという.その理由をノーマンは,ユーザが楽しいと感じるほど,操作がわかりにくい場合や予期しない反応があったときに,積極的に試行錯誤を行って問題解決するようになるからであるという.
iPhone,iPad,Experiaなど,新しい情報通信端末のインターフェースにおいては,タッチパネルの「タップ」「フリック」といった操作を,どれだけ,障害のある子どもたちにも使えるかが,スマートフォンをはじめとした,新しい情報通信端末のユニバーサルデザインの真価で,障害児支援には,そここそが問われる.
実際,画面上のどの部分をタップするのか,スマートフォンなどの端末では,なかなか,ターゲットのオブジェクトをタップできなかったり,アプリによっては,フリックが使えなかったり,ストレスを感じることもある.
障害をもつ子どもたちがiPadなどのタッチパネルを使うとき,ノーマンの言うところの動機づけのためのエモーショナル・デザインを実現するには,障害をもつ子どもたちの指圧や,知覚認知について,検証していく必要もあるだろう.
iPadの基本操作(但し,以下の操作は,アプリによって制御されるものもある)
- 起動・・・右上ボタン
- 音量調整・・・右ボタン
- 画面回転固定onoff・・・音量調整ボタン上
- ホーム・・・アプリケーションにアクセスするためのボタン.1回押すと最後にアクセスしたアプリのホーム画面に戻る.もう1回押すと,1ページめのホーム画面に戻る.
- タップ(指で1回押す)・・・アプリの起動,項目の選択
- ダブルタップ(指で2回押す)・・・画面の拡大,縮小(但し,アプリによって制御される場合もある)
- 長押しタップ・・・音声を出力したり,表示を消したり,アプリによって制御
- スクロール・・・画面を指で上下左右に動かす,スクロール中は,画面右にスクロールバーが登場する
- フリック・・・指ではじいてスクロールする,指ではじいた速度で,自動的にスクロールされ,動いている最中にタップすると,止まる.長い項目を選択する時に使う.
- ピンチアウト/ピンチイン・・・画面上のある部分を2本指で指定し,2本指を広げて,画面を拡大したり,2本指を縮めて縮小する
- 2本指タップ・・・地図アプリなど,ある範囲を2本指でタップすると,2点間の範囲の全体に対する割合(%)に応じて,地図が縮小される.
障害のある子どもたちにも使えるためには,アプリの指操作の仕様を統一したほうがわかりやすい.ただ,いくつかのアプリを操作しながら,タップする位置によって,びっくり箱のような驚きのあるエフェクトや音声出力効果は,子どもたちが喜び,エモーショナル・デザインを十分充足させているとも感じる.
そのほかの操作
- 画面キャプチャー・・・iphoneと同様,ホームボタンと,画面右上のボタンを押す.写真(フォルダ)内に保存される.