【論文抄読】インターフェースシステムの導入原則に関する一考察
東京大学大学院情報理工学系研究科 西本卓也
西本先生の論文は,既に,2編読んでいる.いずれも,視覚障害者の早口音声合成についての論文であった.障害科学の領域の中で,工学論文を抄読することの難しさは,被験者にあたる障害者のニーズにどれだけ近づけているかということが課題になった.
本稿では,インターフェース原則を補完する「インターフェースの導入原則」として「有用性」「適合性」「妥当性」の」3つの観点から提案している.ここでは,論文にある3つの観点と,スマートフォンのインターフェースについて,考察する.
1.有用性の原則
使用される現場における必然性を考慮して設計と導入を行う.ユーザに動機づけを行う.
1.1必然性の考慮
1.2動機づけ
1.3有用性の発見を促進する
2.適合性の原則
あらゆる年齢や能力の人々に対して使いやすさを提供する.
使われる状況・環境を考慮する.ユーザ以外の人に悪影響を与えない.ユーザが行っている他のタスクに悪影響を与えない.
2.1ユニバーサルデザイン
2,2状況と環境の考慮
3,妥当性の原則
適切なタイミングで,妥当な手法と尺度で評価を行う.
結果を活かして反復的な開発・改良を行う.
3.1所要時間に関する評価
3.2身体的・物理的な負荷に関する評価
3.3心的要因に関する評価
3.4主観的評価とNASA-TLX
3.5反復的な開発プロセス
西本先生曰く,「原則と呼べるものは,網羅的でなくてはならず,また実践的でなくてはならない.」
例えば,音声インターフェースを用いることに必然性がある場合は,どのようなことか.モバイル機器,特に近年登場したスマートフォンにおいては,ボタン入力が万能ではない.タッチ操作も何かを選択するためには,有効だが,いわゆる探索的検索には向いていない.この場合,音声技術をマルチモーダル・インターフェースの要素技術として捉えなくてはならない.音声と非音声の手段を適切に組み合わせることが有効な場合もある.
先生の本稿を下に,もう少し,障害とスマートフォンのインターフェースについて,考えていきたい.これらの考察が,今後,学校教育に導入されていくデジタル教科書やスマートフォンなどの新しい情報通信技術を使った教材や教具への一考察にも続く.(編集中)
参考サイト,文献:
情報システムとヒューマンインターフェース 白井克彦 監修(2010)